たろログ2

実験的運用により、記事品質が乱高下することがあります。予めご了承ください。

「坂の上の雲」読書記録

明治の人の生き方、考え方

一言でいうなら、「温故知新」の本だった。

今の自分が常識としている考え方とは異なる考え方がガンガン出てきた。

一番大きかったのは、「自分を犠牲にする」「自分の人生を国のために使う」ような生き方をする人が多かったこと。

またマネジメントにおいては、「部下に一切を任せ、自分はいざというとき腹を切る」という振る舞いをする大山大将のような手法が非常に斬新だった。西郷隆盛にも通ずる、薩摩の人間の大将像だと司馬遼太郎は説明していた。

難しい

内容が非常に難しかった。また、ところによってはそのために退屈だった。結構流し読みした。

特に、バルチック艦隊の航海についての記述は非常に退屈で、難しく、長かった。

バルチック艦隊を日本帝国海軍が破るという描写を早く読みたかったので、登場人物と同様、自分も早くバルチック艦隊日本海に着いてほしいと思った

辛い

旅順攻城戦は本当に辛かった。伊地知参謀長や乃木大将を責めて気を紛らわすこともできるにはできるが、もう終わったことであり、そうしたところで仕方がない。ただ、無為に死んでいく日本兵が辛かった。

あっけなく

あれほど楽しみにしたバルチック艦隊と統合艦隊の戦いだったが、その内容はあっけなく終わった。この内容は 8巻で描かれたのだが、 8巻は夢中で一気読みしてしまったのでそう感じたのかもしれない。

夢中になってしまったことによる怖さ

正直夢中で読んでしまった。

またやはり日本を応援し、日本兵の死を悲しみ、日本兵の進軍を喜び、ロシア兵の兵力が失われることを喜んでしまったところがあった。

完全に日本人としての立場で読んでしまう。そこに少し恐ろしさを感じてしまった。

司馬遼太郎の文章力は凄まじく、引き込まれ夢中になってしまったが、国粋主義に陥ってしまう危険を感じた。司馬遼太郎がその意図を持っているかどうかはわからないが、勝手にそうなってしまうような気がした。

今回の日露戦争は「祖国戦争」として描かれており、言うなれば各国が行った「民主革命」や「独立戦争」の内容と近く、ナショナリズムを煽るのは性格的に当然なのかもしれない。

坂の上の雲」の文章内においても、司馬遼太郎は度々その後の太平洋戦争への批判を述べていた。日露戦争の性格と比較する形でよく記述されていた。

その後の日中戦争韓国併合、太平洋戦争についての書籍も同様に読んでみようと思う。また、日露戦争においてはその後反省が行われなかったため、太平洋戦争で無謀な戦争を日本が引き起こしてしまったと司馬遼太郎は考えていた。太平洋戦争について、敗因を分析する書籍はあったと思うので、それを読んでみたい。